目の症状でどんな病気を考えるか

目に病気がおこると,特徴的な症状が現れます。患者様の訴えとして、われわれ眼科医の出会う頻度の高い「自覚症状」からどのような病気の可能性があるかあげてみたいと思います。

(注意、症状をご参考にしていただくことは大切なことだと思います。が、それで決め付けて自己診断を下すことを避けましょう。思い当たるところがあれば、眼科医に相談してください。勝手に決めつけてしまうことで、重大な取りこし苦労につながることが多いからです。)

診断前やその後に、気になった症状について医師に説明を求められた際に役立でば幸いです。

  • 目の疲れ

焦点をあわせにくい

おもに遠視(遠視性乱視は、ご自分の調節力によって,物を見るときのピント合わせがカバーされるので、自分が屈折異常であることに気づかないまま過ごされている事が少なくありません。疲れやすいとか、頭痛にもちだなどということがあります。ピント合わせの主役である調節力が弱くなってきても疲れが生じます。老眼のはじまりなどにおこってきます。また、ご年齢の割りに近くの文字が見えにくくなったときに注意が必要なのは、しばしば糖尿病の始まりであることも日常の臨床で経験することです。のどが渇き水を多くとるようになってきた、小用の頻度が著しいなどの初期糖尿病を疑う全身症状にも注意を払う必要があります。

 

両目でみると二つみえ

私たちの目には,片眼に6つの眼球を動かす外眼筋と呼ばれる筋肉があります。その外眼筋は、3種類の脳神経が互いに作用しあって,バランスよく動きます。この働きに故障が生じるとバランスがくずれ、物がふたつに見えることになるのです。そのような外眼筋麻痺の原因は、末梢性と中枢性に分かれます。両目でみて、ぐらぐらする,気持ちが悪い,両目でじっとものをみつめていられないなどの、強い症状が出てきますのでCTやMRI検査が診断や鑑別に有用となります、

疲れ目と眼表面疾患

結膜炎は,原因によっては,急性の強い炎症が生じる場合、比較的軽症で慢性になるものがあります。後者の場合,症状のひとつとして目の疲れが生じます。

最近はアレルギーによるものやドライアイに伴う慢性結膜障害が多く見られます。ときに悪くなり,症状の波が見られる特徴もあります。

近ごろ問題となるPM2.5やデイーゼル車の排ガスの粒子のような大気汚染(おせん),化学的物質や空気のよごれによる物理的な物質(焼却炉の煙,紫外線など)が,たえずこの外部に露出している目を刺激して結膜炎が生じ,ときには刺激が角膜におよび表層性角膜炎をおこします。

目の表面の軽度の炎症では,目やにはあまり出ないし,赤みも大したことはないのに,なんとなく目が「シバシバする」という訴えが多く見られ,同時に目が疲れるという訴えもみられます。目を使えば,充血やうっ血が重なり、いわゆる目が赤くなる,外からみれば白目が赤くなる充血が生じます。このとき「うっとうしさ」や「疲れ易い」という感覚も生じることがあります。

アレルギー結膜炎の所見

アレルギー結膜炎の所見

  • 目が痛い

一般に痛みというのは,いろいろな種類があり,どんな痛みかという問いに対する答は,たくさんあってしかもそれぞれ特徴があります。

身体の異常のシグナル

目の知覚は三叉(さんさ)神経という知覚神経が分布してつかさどっています。黒目、角膜の表層にはその神経の末端が密に分布しています。したがって,角膜に少しでも傷がついたりすると,強い刺激を感じ,痛みが生じます。角膜は身体のなかでもっとも鋭敏であるとされているくらいです。目にごみが入ってだけで、耐えられない痛みを感じ、そうしたご経験のあるかたはいかに苦痛かご理解いただけると思います。

目にごみがはいったら

目にごみが入ったとき,まずすべきことは,慌てずに目をつぶってしばらくじっとしていることも有用です。組織にささっていなければ,異物感であふれる涙で流される可能性が高いからです。その後少しまばたきをし、これをくり返してゆくと,異物は涙とともに目がしらのほうに移動し,うまくゆくと外へ出てきます。いきなり目をこすると、かえって,異物で目に傷をつけてしまうことになります。

この時点で痛みがとれなければ,お近くの眼科医に異物を診てもらうことが賢明です。その時異物が残存しているのであればそれを除去してもらわなくてはなりません。しかし、異物がすでに流されているにもかかわらず、異物で生じた小さな角膜の傷は,それ自体で刺激の強いものであり。その後の角膜感染対策という意味でも診察を受けていただく必要もあります。

角膜異物

角膜異物(鉄さび)

コンタクトレンズによる痛み

コンタクトレンズは硬いハードレンズとやわらかいソフトレンズに分類されます。角膜はまばたきで涙が表面を濡らされ、その涙液層を介して空気中の酸素を取り入れ透明性を保っています。コンタクトレンズのメーカーは酸素の透過率の高さを歌いますが、理論上100パーセントに近くても、ドライアイや通年性アレルギーなど患者さんの様々なコンデイションを考慮すると100%はあり得ないのではないかと考えるのが妥当ではないでしょうか。

コンタクトレンズを使う,あるいは使いたい人にいつもいうことは,コンタクトレンズを角膜につけているということは,角膜を傷つけながら装用しているという事。私たちがコンタクトレンズを使っている人の角膜を顕微鏡で観察すると微細な角膜上皮のはがれを見つけることが極めて多いからです。

角膜のきず

汚れたハードコンタクトで生じた角膜下方の縦傷

角膜とコンタクトレンズのあいだに涙の層があるわけですが,どうしても物理的にここに微細な傷はできがちです。

それが広くなったり,深くなったりすれば,目がごろごろして強い痛みが感じられるようになり,充血したり,まぶたが益々はれてきます。加えて細菌感染,特に緑膿菌感染をおこすと重篤な障害を招きます、

目の痛みの原因となる病気 強膜,眼筋筋膜,虹彩,涙腺あるいは眼球後方の組織などの炎症,急性緑内障,眼球後方の視神経炎,帯状疱疹などのなかには,鈍い痛み,押す痛み,さすような痛み,ぐりぐりするような様々な痛みが生じます。

 

  • 目が赤くなる

結膜,角膜,虹彩,毛様体の炎症がおこると目が充血してきます。そのほか急性緑内障発作でも同様です。虹彩毛様体炎や緑内障発作の場合には,黒目のまわりが赤く,刷毛でぬったようになります(毛様充血)が,強膜炎は赤紫色に,結膜炎は球結膜が橙赤色に充血します。

 

球結膜の血管が破れて出血する

もうひとつ赤くなるものがあります。それは血がそのまま見えて赤くなるものです。球結膜は本来透明ですが,その下の上強膜は白い不透明な膜ですので,いわゆる白目といわれます。球結膜に分布している血管が破れるとそこに出血がおこります。透明な所に血が出るのでまっ赤になるのです。

多くは自分では気がつかずにほかの人が見て,びっくりして,目が赤いと指摘します。冬,寒いときとか,天気が急に変わったとき,ときにせきやくしゃみの後とかに生じます。この出血をくり返すようでしたら,これはなにか全身的な血管が弱くなる病気や,血液の病気ではないかと疑って,そちらのほうの検査をする必要があります。

結膜下出血

 

片目が突然見えなくなるのは

片方の目が突然異常をおこしたときは,すぐにわかります。この代表的なものは,眼底の網膜に分布している動脈がつまる疾患です。網膜中心動脈は,脳へ向かってゆく内頸動脈から分かれた眼動脈の枝で,視神経の中心の所で網膜に入ってきて,四方向に枝分かれします。この中心の所で血管がつまると,網膜全部への血液供給がストップし、この場合は突然,その目の視野はまっ暗になります。

動脈がつまる原因は動脈硬化が多い

動脈の閉塞は動脈硬化によるものが占めます。動脈の壁が厚くなり,血管の内径が不規則にせまくなってくると,血液の流れにうずまきができて,そこにやがて血液のかたまりが形成されて血液を通さなくなります。

また動脈の壁そのものが収縮して閉塞してしまうものもあります。成人や高年者では動脈硬化にともなうものがあり,若い女性には高血圧をともなうものがあります。そうでない場合は血管を太くしたり細くしたりする神経が不安定な場合で、瞬間的に網膜のある部分で血液の流れが異常をおこしていることが疑われます。このような場合、至急眼科医に診てもらうい,そして大事に至らないように,血管収縮のおこらないような手当てを受けることがたいせつです。網膜中心動脈閉塞症網膜中心動脈閉塞症

 

  • 物がゆがんで見える

 「曲がって見える」ということを検査するアムスラー検査表のひとつを下に示します。これは升目で、この中心にある点を片方の目で見ます。実物で見る場合の距離は約30センチ。老眼鏡のいる人は,もちろんそのめがねをかけて見ます

もし物がゆがんで見える人がこれを見れば,ゆがんで見えます。そのゆがみ方―そのゆがみが小さいます目のどこに,どの範囲にあたるか,どのようにゆがんでいるかということで医師には判断できます。

一片が10センチの正方形で,私たちが物を見る網膜の中心部まわりの黄斑部をカバーしています。この範囲はいうまでもなく,視覚のもっとも重要なところで,感覚がもっとも鋭敏です。

アムスラー検査表

変視の検出に役立つアムスラーチャート

物がゆがんで見えると,字などが読みにくくなります。中心視力が悪くなる場合もあります。また,ゆがみが生ずることは,網膜にもなんらかの病変がおこっているわけで,その部分に応じて線が暗く,灰色に見えたりします。これを暗点といい,格子が部分的に消失してしまう場合もあります。視神経が障害されると,直角に交わっている格子があちこち切れていて,網目に穴があいているようになり「破線現象」と呼びます。

中心性網膜症

変視の著しい中心性網膜症

黒いすすが飛ぶ

光は瞳孔を通って眼底の網膜に達して,外の物体の像をつくります。もし,その途中に光線をさえぎるものがあると,それは影となって網膜にうつることになります。影はいろいろな形をしていますが,一般に多くはは蚊が飛んでいるように感じることから,飛蚊症とよばれます。飛蚊症をおこす場所は,硝子体です。生理的飛蚊症というのは,ふだんは気づかないものなのですが,青空を見たときや白い紙を見たときなどに,多くは半透明な,よじれた線維状や小さい水玉がつらなったようなものとして見られます。また,午前中はあまり気づかないけれど,夕方になるとどうも目につくということもありますし,長いあいだ病床についていて,体力が衰えたときなどにもよく自覚します。

硝子体混濁

硝子体のにごりがおこるのは

硝子体のにごりは,歳をとるとともに硝子体が網膜に接している部分がはがれ、網膜の周辺で硝子体と網膜が癒着しているようなときには,硝子体剥離がこの癒着した場所をひっぱるように働き,網膜に穴があいたり,さけたりします。そのさけめを放置してしまうと網膜剥離という重大な状態になります。

黒いすすが流れるように見えたら気をつけましょう

多くの人は,生理的硝子体混濁を飛蚊症状自覚していますし,ぼんやり遠くの空をみつめたり、白い壁をぼんやり見たりするときに自分で見ることができます。しかし,ある日突然に,ようすが変わって,蚊の群が現れたようにたくさんのかたまりが現れたり,黒いすすや墨汁が流れるように見えたりした場合は,目の中になんらかの病変が生じたことを示しているのです。このような場合には,急いで眼科医を受診して,原因を明らかにして対処しなくてはいけません。

周辺部に生じた列孔

網膜周辺部に生じた網膜裂孔

目にあらわれる全身の疾患

日頃,私たちが美しいと感じることができるのは,無意識のうちに眼が様々な光を捉えてくれるからである.手鏡があればご自分の目を一度ご覧になっていただきたい.

上瞼と下瞼に挟まれた瞼裂の中央には,黒目と白目が観察されます.黒め目をよくみると,透明な角膜と角膜越しに見える虹彩や中央に瞳孔が観察され、この瞳孔を通って光は眼内に到達します.

一方,白目を良く見ると表面には透明で細かな血管の分布する結膜と,結膜を透けて眼球の壁を構成する強膜が観察されます

外からみた眼のようす

眼内の様子をみると,虹彩の裏側には透明な水晶体が位置し,網膜への集光や調節を担っています.虹彩や毛様体そして脈絡膜はぶどう膜とよばれ,色素細胞と血管を多く含み,この組織は網膜の外層の栄養をつかさどるだけではなく,眼内で発生する熱を放散するラジエター効果や複雑な免疫現象を担当しているのです。

網膜視細胞で光を捉えると視神経を介して刺激を視覚中枢である脳の後頭葉へ伝達します.眼球を構成する各組織の仕組みがうまく働かないと,これらの光伝達や光感覚が損なわれることになり、視覚の障害をきたします.

眼の断面 その構造写真

 

全身疾患と眼

全身疾患と眼には密接な関係があることは古くから知られ「眼は全身病の鏡」などと伝えられてきました.このため人間ドックでは眼底検査があるといっても過言ではありません。全身疾患の分症として眼症状が出現する理由は,眼球が極めて微細な血管網や神経組織から成り,全身変化が眼球に現れ易いからである.また光透性に富むことから,一旦眼組織に障害が生じると網膜における可視変化として表れ、視覚そのものに大きな変化を来たすことも特徴です.

人間ドックと要精査率

いいかえれば、多彩な眼所見に、どのような全身性変化が潜んでいるのか伺い知ることができる臓器とも言えるのです.すなわち眼を診ることは,眼をみるだけではなく全身変化を診ていることを意味しており、そのような背景から,近年予防医学の分野で眼科検査が重要視され,全身の隠れた疾病を見出す器官として検診には欠かせない検査です。

ちなみに上のグラフは2007年一年簡に当時勤務していた総合病院で自分が集計したデータで、検診で何らかの要精査率をあらわしています。30台~60才代以上になるにつれ、要精査の割合が増え疾患の発見に役立っていることが理解できると思います。

 循環器疾患

全身臓器のなかでも眼底は動静脈血管を直接観察できる場所です.特に高血圧症と動脈硬化の診断にとって眼底検査は重要で、高血圧性網膜症には,血圧の変動で可逆性変化を示す狭義の高血圧性眼底所見と,血中の中性脂肪で生じる動脈硬化性網膜所見で構成されます.

眼底所見は,Scheie分類やKeith-Wagner分類でとよばれる分類で分類されることが知られており、各分類における程度gradeと血管の組織学的な高血圧性や硬化性変化が相関するので,内科の先生方は眼底所見を重要視されます。

動脈硬化の場合,なかでも粥状硬化は,大動脈壁の内膜の脂質沈着,線維性肥厚,粥腫,血栓形成などを生じ,仮に首から頭に向かって走る内頸動脈に生じると,灌流域である眼に血栓(栓子)を遊離させ虚血を招き,それが原因で網膜中心動脈閉塞(下の図) 網膜中心動脈の網膜 黄斑部が蒼白

網膜動脈分枝閉塞症虚血性視神経症新生血管緑内障などが発生します.突然眼の前が真っ黒になって,スーッとまた見えてくる一過性黒内障と呼ばれる症状は,それらの疾患の前駆症状である場合が多く、この症状を自覚したら注意が必要で、眼科医にまずご相談ください。

そのような症状がみられた方は,ドプッラー血流検査による眼動脈の血流量,頸動脈内腔の所見を確認すべきです.これは、その後発生しやすい脳血管障害を防止する上でも重要であります.粥状硬化による内頸動脈閉塞は糖尿病の方に多く,眼底検査で左右差のある糖尿病網膜症は頸動脈の循環障害を疑います.

腎疾患

腎疾患の眼底所見は1)血圧上昇と細動脈変化が主体で高血圧性網膜症の所見を呈する血管型網膜症,2)高血圧に窒素血症が加わって生じる腎性網膜症,3)高度の貧血でみられる貧血性網膜症が代表です.妊娠中毒で,血圧の上昇を来たすとみられる網膜症は,妊娠中毒性網膜症です.

糖尿病

糖尿病眼症の代表は糖尿病網膜症,白内障,眼筋麻痺といわれています.年齢,罹病期間,血糖の状態,腎合併などが加味され、多彩な所見がみらます.

糖尿病でみられる黒目の表面,角膜の上皮障害は,末梢神経障害が基盤になって生じると考えられており,糖尿病に罹患したため生じた知覚低下が原因で生じるとされます.

また,神経症状として複視や眼瞼下垂症状で受診し,眼科で初めて糖尿病の存在を知ることも少なくありません.

ちなみに,水晶体に糖が蓄積すると白内障が進行します.調節力が低下し、年齢の割りに老眼症状が強くなったり、また糖尿病に罹患すると瞳孔は,しばしば縮瞳傾向を示しすので散瞳薬に対する反応性も乏しくなるといった特徴もみられます。

非肉芽腫性(目のなかに膿がたまるような炎症で)ぶどう膜炎が発症し,糖尿病がみつかる場合も少なくありません.

糖尿病網膜症の眼底病変は単純型,前増殖型,非増殖型に分類される.単純型網膜症では,網膜毛細血管内の毛細血管瘤や点状や斑状出血,硬性白斑などがみられますが,それらの所見は治療で病状が改善するに伴い可逆的に消失する場合のあることも忘れてはいけません.

白内障所見

糖尿病例でみられた成熟白内障(水晶体レンズが白濁)

 

前増殖型網膜症は単純型の病態に,軟性白斑が多発し静脈の異常や網膜内細小血管異常が加わった状態である.蛍光眼底造影検査では無灌流域が観察される.病期が進行し無灌流域に新生血管が発生すると増殖型網膜症に移行します.

新生血管壁は脆弱なので,血漿成分の漏出や出血を来たしやすく、硝子体出血を来たすと硝子体内でコラーゲンが増殖しかさぶたのような線維性増殖組織を形成することがあります.これが網膜と硝子体の境界に形成されると牽引性網膜剥離生じ失明の原因となるので要注意です.

糖尿病網膜症重症例

血液疾患

悪性貧血や失血性貧血など重症状態に陥ると出血性網膜症を引きおこし,その眼底には綿花状白斑,網膜表層出血,Roth斑,静脈の拡張や蛇行などの所見が観察されます. 白血病では,静脈の拡張,蛇行,出血(網膜出血や網膜前出血,硝子体出血)綿花状白斑がみられ、Roth斑とよばれる特徴的所見が観察された場合,白血病に罹患していることが強く示唆されるので大事な所見である.

白血病にみられたRoth斑

中年以降の年齢で,比較的軽度の虹彩炎に強い硝子体混濁がみられ,副腎皮質ステロイド薬の治療にも改善が乏しい場合,眼内仮面症候群(intraocular masquerade syndrome)とよばれ,眼・中枢神経系に眼内悪性リンパ腫がみつかることもあります.進行例では網膜下に黄色白色斑状の腫瘤性病変がみられることがあります。

多発性骨髄腫,マクログロブリン血症,赤血球増加症や時に悪性リンパ腫など血液粘度が上昇する疾患では,網膜静脈の拡張や蛇行,網膜表層から深層にかけた出血が眼底にみられる.進行例では,網膜中心静脈閉塞症や視神経乳頭腫脹が観察されることもあります.

感染性疾患

ヘルペスウイルス感染は高齢者や免疫不全患者に好発するのは良く知られています.眼部帯状疱疹は激しい神経痛を伴い三叉神経第一枝領域に発生する水疱性皮疹を主徴とする疾患で,水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化,すなわち子供のときにかかり体内で眠っていた水ぼうそうウイルスが再活動を起こすため生じるとされています.

鼻尖部に皮疹のあるものには,眼病変がともないやすくHuchinson徴候と呼ばれる).

角結膜や前房には,多彩な症状がみられ,皮疹より数日遅れて角膜上皮に偽樹枝状潰瘍を形成し,上皮下混濁を来たし円盤状角膜炎を呈するものや,虹彩炎を併発し高眼圧,角膜後面沈着物,虹彩の脱色素を伴う萎縮巣と括約筋の障害を残すものまで,臨床所見は多彩です.

単純ヘルペス(HSV)にはⅠ型(口部ヘルペス)とⅡ型(性器ヘルペス)があり,このウイルスで急性網膜壊死という疾患をもたらすこともあり、眼動脈の閉塞性血管炎や網膜が壊死に陥り多発裂孔を形成する予後不良な疾患です。硝子体混濁も著しく,牽引性網膜剥離が発生する点で非常に難治な疾患として知られています.HIVに感染してAIDS(acquired immunodeficiency syndrome)を発病すると,眼部カポジ肉腫,AIDS網膜症,日和見感染としてサイトメガロウイルス網膜炎を発症することもある.

サイとメガロウイルス網膜炎

人間ドックで異常を指摘された場合,直ちに眼科医を受診することが大切です。しかしながら、多くの場合、重篤であることは少なく、検査結果に関して丁寧な説明をもとめ,どうしたら所見が改善するのか説明をうけ、納得すべきでしょう.また適切な治療法について指示に従い改善することも少なくありません。おっくうがらずに病状に関して診断を仰ぐべきでしょう.

 

高齢者の視力と運転免許

運転免許の取得や更新時に皆さんも視力検査を受けます。このとき視力が両眼で0.7以上、かつ一眼でそれぞれ0.3以上 であること 又は 一眼の視力が0.3に満たない者もしくは一眼が見えない ものについては他眼の視野が左右150度以上で視力が 0.7以上であることで、免許書の交付や更新が許されます。

視力の値は視野中心部の視機能をあらわす指標の一つにすぎず,交差点で必要とされる周辺視力を反映するものではないからです。また視力の値は,突然視界に飛び込む指標を識別する機能と相関しない点が大きな問題と思われます。運転する技能のなかでも,視覚の評価を視力検査だけに頼ることは,危険だとずる意見もあります。

近年高齢者の事故率が問題視されています。その運転能力のひとつに評価法として、Useful Field of View Test(有効視界テスト)が注目されてきました。この検査は、短時間に有効視野を評価するもので、視覚感度の分布を測定する従来の視野検査と異なり、注意力や視覚における処理能力も評価されます。調査の結果、この有効視界を40%以上失うと、事故の発生率が2.2倍高くなることが判明しています。

ところで、高齢者にみられる加齢白内障の場合、眼疾患のなかでは視力障害の原因として頻度の高い疾患です。また高齢に有病率の高い緑内障による視野異常も伴いやすいことも重要です。

両眼の白内障の場合だけをみても、事故の危険度が片眼性に較べて,さらに2.5倍増加します。これに前述の緑内障や他の眼疾患が合併すると、中心視力が良くても視機能全体でみて危険率が高まることは容易に想像できることです。

高齢者の運転能力を評価するシステムは,本邦で検討されているものの、正式に導入されていません.私が車の運転を希望する患者さんと手術時期を決める場合,視野検査やコントラスト感度の測定等,いくつかの視機能を評価し(主に霧視や光のギラツキ感を測定する検査です)、手術をうける時期を相談しています.

米国では,各地にDriving Assessment Clinic(自動車運転評価クリニック)が設置され、詳細な運転技術評価や運転能力が評価されています.本邦は長寿国となりました.車の運転も含めて,高齢者であっても,生活を楽しむために必要な機能を確保することが要求されます.単に高齢だからと、理由もなく運転を諦めさせることは、慎んみプライバシーやプライドに配慮すべきですが、事故率の高いことを考えるとよ良い方策がのぞまれます。

社会的にみると、高齢者の運転にリスクが常に伴っていることを、皆が認識すべき時代を迎えており、ある一定の年齢を超えた方が免許を更新する際に,公の機関で講習や認知障害の有無を検査する以外に、視覚有効テストのような視覚に関連する評価を行うことは,安全性と事故の減少にとって重要ではないかと思われます.

メガネの選び方

眼科では、患者様が来院した時、「今日は、どんなふうに具合が悪いのですか」と訊ねます。「いつから」「左右どちら」などなど、そして「かかりつけのご病気の有無」や「お薬の服用状況」様々なことを簡潔に伺います。

そのあと眼科検査に移りますが、その際、特別な感染症が疑われる場合などの例外を除いて、原則その方の視力をはかります。

デジタル視力表

デジタル式視力表

裸眼で正常な遠方視力(日本の指標で1.0)に達しない場合、+(凸)のレンズで矯正できる遠視か、-(凹)レンズで矯正できる近視かあるいは、凸または凹の乱視があるかを調べます。その時使用する検査機器が自動屈折計(最近の機器は角膜乱視のみならず、眼圧の値も自動で測定できます)。

あごをのせ、映る画像をみているだけで測定が可能です。

自動屈折度測定装置の写真

 

レンズをかけて、視力がよくなるかどうかも検査し、レンズをいろいろ入れててみても、正常の視力に至らないならない時は、目のどこかに具合が悪い所があるのではないかと考え、視力がでない理由になる原因疾患を探ることになります。

屈折異常

目の屈折状態を評価できるのは、目が遠くのほうをぼんやりと見ている安静な状態です。すなわち調節といって、近くの物を見るときに目のピントを合わそうと働く現象が関与していないときが望ましい。

ピントを合わそうとして、調節筋が働くと屈折が変わってしまいます。通常、5メートルの視力表で測定します。

眼の断面 その構造写真正視 近視 遠視の図

上の図は眼球の断面図。右の模式図は、その眼球に、遠方を見たとき入ってくる光線の状態を示したものです。

「1.0」の視力を得るのに何のレンズも必要ない正視では正しく網膜にピント(焦点(しょうてん))が合っています。 しかし、近視では網膜の前方に焦点が合って、網膜上をみると「ぼけ」の状態で、凹レンズを用いないと網膜に焦点は結びません。遠視では、ピントは網膜の後ろのほうにあって、同様に網膜ではぼけることがわかります。乱視は、この屈折状態に、主として角膜の彎曲(わんきょく)が垂直と水平方向で異なり、一方が強く、一方が弱いので、生じます。ですから外から入ってくる光が、角膜に入ってくる方向によって光線の屈折が異なる状態といえます。

これらの屈折状態(眼科では屈折異常と呼びます)をレンズによって補正して、正しく網膜に光が焦点を結ぶようにするのが、検眼です。

近視の矯正では強い凹レンズによる矯正は、目が安らげない、すなわち調節力が働きやすい状態で、適切でありません。ですから近視眼の矯正にはは、最良視力が出るレンズより、幾分弱いものを選ぶことが大切です。

遠視矯正

遠視の場合は、遠方を見て、調節をしない状態のときには焦点が後方にあるので、これを凸レンズで前方の網膜に焦点を合わせます。このとき弱めの凸レンズでは、眼内で調節機能が働いてしまいますので、常に調節が働いて目を休めることができません。したがって、遠視の場合、近視の場合亜とことなり、最良の視力がえられる凸レンズで強めを選ぶことが望ましいのです。

乱視は、おおまかにいえば、垂直方向と水平方向の屈折がちがっている状態で、実際の矯正は眼科医にまかせていただくことになります。度数のきめかたは、上記の近視や遠視と同じ考で度を決めます。

検眼フレームとレンズ

検眼フレームと多種類のレンズ

老視と老眼鏡

虫眼鏡は凸レンズで、この虫眼鏡を通してみると物が大きくみえます。自分が近くをみるとき、目の中では調節が生じてレンズを膨らませて焦点を近くに合わせることができます。年をとるとともに水晶体の硬度が変化するので、この調節がうまくゆかずに一般的には凸レンズで矯正することになります。(近視の方で、近親矯正度数が強い方の場合、その度数を減じる(言い換えればマイナスの度数にプラスを加えることになるので、近視を弱めると近くに焦点があうことになります。電車にのってるマイナスの凹レンズをかけている近眼で中年以上の方が、めがねのままでは新聞が読めないので、外してゼロにして新聞をよんでいる状態がまさにその状態です)

駅の売店に並ぶ老眼鏡は、みな球面で乱視のない凸レンズです。拡大されて見えますので、他人の老眼鏡同様に、ちょっとかければ、「おや、よく見える」ということがおこります。しかし、これは虫めがねで物が大きく見えるのと同じことなのです。出かけたときに老眼鏡を忘れ、しかたなくという人が対象の眼鏡で、光学的にみても表面処理は問題があり、常用するのに適当と思えません。たまたま度の合う方がいても、瞳孔の位置ぎめ、表面処理、例えば白内障などの基礎疾患を踏まえたうえでの着色の問題などの対応が肝要です。ぜひ、眼科で検眼と処方をうけていただきたいと思います。

 

 

 

 

突然の視力視野異常 虚血性視神経症

比較的高齢者で、多くは片眼性に突然、視力障害、視野障害が生じ、1~数日で症状の固定してしまう疾患に虚血性視神経症があります。視神経の篩状板より前方で生じる前部虚血性視神経症と篩状板よりも後方に生じる後部虚血性視神経症があります。わが国では原因として障害の原因として、動脈硬化が多く、欧米に較べて動脈炎によるものは多くはありせん。視力障害とともに生じる視野異常は水平半盲が代表的です。

視神経症の眼底者h新

左眼前部虚血性視神経症

視神経乳頭の発赤腫脹浮腫と出血が観察されます

診断と検査

各種眼科一般検査に加えて、swinging flash light test, 中心フリッカー値の低下など視神経障害を検出する検査。それに加えて蛍光眼底撮影、視野検査を行うことが重要です。また血液一般検査の中でも血沈の亢進は原因として動脈炎を疑う重要な検査です。簡便な検査ですが血沈検査は原因究明に大変有用です。

虚血性神経症の視野蛍光眼底撮影所見

水平性視野異常と視神経の造影所見(後期でも造影剤の染色が遅延)

治療

動脈炎型では、両眼性へ進展しやすいので厳重な抗炎症が主体ですが、非動脈炎型の場合、高血圧、高脂血症や糖尿病などの基礎疾患に対する管理をまず行うとともに、様々な対症療法が試みられます。症状の進展やもう片眼(僚眼)への発症予防のためにアスピリン内服を重要と考える意見は少なくない。手術療法として、視神経減圧術が全米で検討され予想以上の効果が報告された一方、高齢者が多いためにその合併症も危惧され、慎重な意見が少なくありません。

 

花粉によるアレルギー結膜炎 症状と対策のポイント

花粉によるアレルギー結膜炎の

症状は、かゆみ、発赤充血、ごろごろ感やしみる感じ、涙目などです。

急性のかゆみ症状と結膜充血 浮腫が著しい症例

かんじゃにみられた白血球

塗沫検査で涙からこの症例は好酸球が観察

(好酸球がみられない
アレルギー結膜炎も多数。

眼所見や細隙灯顕微鏡にもとづく
眼科医の診断を受けることが大切です)

既往も大切!
 鼻炎のある方、季節による症状の変動のある方
喘息やアトピー体質 家族歴のある方
ドライアイの方やコンタクトレンズ装用者
(コンタクトは清潔に!)

など。

花粉症は通年性にみられます
が、秋から冬にかけて杉やヒノキ花粉に代わって、これからの春から夏(梅雨時期含む)にかけても飛ぶ花粉の
代表的な種類は
イネ科
・カモガヤ です。

4~7月
はハルガヤ、そして 4~8月
・イネ 7~8月
キク科
・ブタクサ 8~10月
・ヨモギ 8~10月など関東地方では多く飛散します。イネ科の特徴
イネ科が原因だと朝から症状が出やすい
(スギ、ヒノキは昼に増強)
キク科の特徴
高速道路ののり面などに多く、大量に飛ぶ
ので、その周囲は注意がひつようです。

アレルギー結膜炎の診断
 ImmunoCap Rapidを導入
すると原因抗原の検索が外来にて
迅速に測定できるようになりました。

アレルギー迅速検査

上図中央は検査キット
(スギとカモガヤ抗原に反応が観察された例
秋の症例ですが、関東地方では台風後、スギに反応
する方が多数みられています。H26/11/30現在)

代表的抗アレルギー点眼薬の一覧
(増悪期には、これら薬剤とステロイド点眼を併用)
田中孝男(院長著) 抗アレルギー薬 角結膜疾患の薬物療法 
眼科診療プラクテイス 42-43 Vol 5, 2002より)

点眼の表

予防も大切
 早期からの予防的点眼の開始
 外出時、マスクや防御メガネ等の着用を!

写真はフードのついた、アクリル製防御メガネ

花粉症予防めがね

結膜炎に関する基礎知識

目の赤くなる(充血)する代表疾患は結膜炎ですが、眼の赤くなることがイコール結膜炎ではありません。結膜は、まぶたの裏の瞼結膜、瞼の裏の奥、円蓋部結膜とよばれるぶぶん、そして白目を覆う球結膜に分かれます。そこに様々な原因で発赤、腫、熱、疼痛刺激をともなう状態が結膜炎です。

原因として、代表敵には季節性アレルギー結膜炎、感染性(角膜)結膜炎のほか、コンタクトレンズによる角膜障害、涙のう炎に随伴するものなど、多彩な原因から生じます。

それぞれの鑑別には、刺激症状、めやに、結膜の浮腫所見と所属リンパ節(特に耳前)の腫れ具合などの所見が役立ちます。痛みやごろごろする感覚を伴う場合は結膜以外に角膜に障害が及んでいることがありますし、痒みが主体のとき、代表的疾患はアレルギー結膜炎です。近年増加が著しいドライアイでも通年性アレルギー症状の併発としてみられることは少なくありません。

「めやに」で白~透明な分泌物は、ウイルス結膜炎や急性アレルギー結膜炎、ネバネバしたものはドライアイや一部の春季カタル、黄~緑色の膿状の目やには感染性を疑います。また同時にともなうことの多い結膜の「浮腫」は 炎症が強いときに血管からもれる滲出液で生じる半透明な腫脹です。

診断における塗抹鏡顕検査 通常はめやにの性状で診断につなげることが多いのですが、鑑別になやむ場合、その「めやに」の性状を顕微鏡で観察することで、診断精度をより高めることもできます。これは適切な治療の選択につなげられるので大切です。観察される細胞所見をご提示、説明を加えることで、患者さんに病気の仕組みや、治療法をご理解いただくことにつながる場合が多いからです。具体的手技は、分泌物を綿棒かピンセットにとり、スライドグラスに塗り、
染色したのち医師が鏡顕しながらモニターで提示します。
原因や病態、そして適切な治療法に関してご説明します。
(所要時間は約5分~10分、染色法は、疾患を考慮して種々の染色法から選びます)

麺棒でめやにをすらいどグラスへ

めやにをスライドグラスに塗布

染色して鏡顕

検査をデイスプレイで提示

所見を提示(写真は多数のリンパ球と思われる単核白血球、ウイルス性結膜炎症例)

臨床所見に加え、必要によっては細菌培養同定検査、抗原の検索等、生化学、
免疫学的諸検査とこの検査を併用することが重要と考えています。例えば、正確な診断のために
アレルギー結膜炎の場合、炎症で上昇する涙液中のIgEを測定して
診断の精度を高める場合もあります。

 

 

色覚検査

2002平(14年) に学校保健法が一部改正され、健康診断の必須項目から色覚の検査がおこなわれないようになっていました。その後約10年間以上の期間を経て、2014(平26年)  に学校保健安全法施行規則が改められ 積極的に保護者等への周知同意を図ることを前提に色覚検査が実施されるようになったのです。この背景には、生徒たちが自分の色覚の状態をしらないまますごし、就職や進学で初めて知ったことで進路の変更を余儀なくされる問題が多数みられたからです。

石原表色覚検査表の写真

現在渋谷区では小学校4年生を対象に実施。

その際未実施の5~6年生にも希望を募って実施。

学校で行われている検査が上に示す石原表検査です。

注意すべきは、石原表は極めて検出感度が高いことで、すなわち色覚の程度に関わらず有無を検出してしまうことと、女性の保因者を検出してしまう点にあります。

ですから石原表の結果をもって色覚の障害程度を判断してはいけないのです。

もし石原表で検出された場合、ぜひ眼科を受診してください。

その医療機関では障害の型式をパネルD15検査で行います。

色覚の型式を判断するためのパネルD15テスト 左はパネルD15の写真

左の青から、順次近似する色を並べて障害の様子を判断します。

光の三原色の説明

網膜の黄班部には赤、緑、青の光を感じるL,M,S 錐体細胞が分布しています。

L錐体(赤を感じる)の機能不全は1型、M(緑)錐体は2型、S錐体(青)は3型の障害に分類されます。

進路の判定に、例えば色を識別する鉄道、警察、消防 防衛の分野など進路を考えている場合や営業で色を扱う領域につく場合など、その程度判定はアノマロスコープを用いた評価が有用です。

大切なことはこうした検査の対象になる方々は、正常とされる方々と較べても、色彩感覚は大きく変わらない場合が多いことです。遺伝に関する問題を扱う場合、色覚障害に関連する遺伝子が女性の性染色体にありますが、その発現は簡単でない場合も多くみれらます。個々に相違する点も多いので、ご心配の方は眼科医にご相談ください。

 

医師からの助言として

検査で精査が必要と指摘されても、「色彩感がないわけではない!」ということ。

また薄暗い所、あるいは一瞬の判断時や対象物の面積が小さいなどの

一定条件下で混同を起こすだけであることを周囲の人たちは理解しておくべきです。

しかしながら、進路選択において、職種によっては拒まれることがあるので、知って備えておくことは重要であると思います。

また小学生などは授業で色をつかった教材や授業が多いので、教師は強度の障害のある子供たちの様子を把握しておくべきでしょう。

 

近視の矯正

デジタル視力表
デジタル式視力表

近視矯正眼鏡に関して

近視の場合、目を細めて過ごす癖がつきやすく
眼鏡装用のタイミングが遅れてしまう場合があるので要注意

です。

片眼だけ視力が悪い時
片眼の視力が悪く、もう一方の目で0.7以上みえれば
教室の後ろの席でも黒板の字が概ね読めると考えられています。

一方、良い方の目が0.7以下の時、子供たちには学業に支障が生じないよう対策を講じる必要があります。
左右差が著しく、不同視と呼ばれる状態は、幼少期に放置していることで発達障害を招き、弱視になることもあるので要注意です。

自動屈折度測定装置の写真自動屈折度測定装置

どの程度の屈折度(視力の矯正に必要な度数を測定する検査機器です)

眼鏡では矯正が難く、左右のバランスをとるためコンタクトの装用が適応となる場合も少なくありません

。

両眼とも視力が悪い場合
は、レンズで矯正できるならば早めに眼鏡を所持し、装用すべきです。

「眼鏡をかけると近視が進む」 などと言われることがありますが、正しいかけ方」を眼科医に尋ねましょう

。

高度近視の場合
眼鏡は必需品です。厚い眼鏡レンズよりも、レンズの薄いコンタクトの方が矯正効率に優れていますので、日常生活において眼鏡とコンタクトを上手に使い分けることができます。

眼鏡処方の際、検眼に併せて一連の眼科検査を行い発行します。

受診者の中には、PCや携帯の長時間使用で調節機能(ピント合わせ)の障害を併せもつ方が少なくありません。

調節緊張による一時的近視の方は、眼鏡は不要で、点眼治療で改善することもあります。

眼精疲労の強い場合、まずは疲労に対する点眼処方を行い症状を緩和してから
眼鏡処方しなければならないような患者さんもいます
。

そもそも検眼をきっかけに診察を受けて治療を要する眼疾患がみつかる頻度も高いことも大切な点です。

糖尿病、高血圧、種々の血液疾患などの成人全身疾患、
種々の全身感染症、頭蓋内疾患の発見に繋がるケースも
稀ではありません。

「眼鏡処方」に関する一連の検査は重要な診療行為です
このことはコンタクトレンズの処方においても例外でありませんので
検眼や眼科的診察はとても大切です。

エビスクリニック眼科 小児用ドイツ製検眼レンズセット

小児用検眼レンズおよび検眼フレーム

眼底検査

眼底写真 右目 成人正常例

上の写真は、正常成人の右眼の所見です。

視神経乳頭から網膜動静脈が分布しています。

写真中央のやや色調の暗いところを中心とした領域が黄斑部です。

眼は心の窓と申しますが、眼は体の窓でもあります。

眼底検査で観察される網膜には眼の病気以外に、思いの他 多彩な疾患による変化が現れます

。

網膜は身体の中で、神経(視神経)や血管を
直視できる臓器ですから、 高血圧 動脈硬化 糖尿病変化をとらえるのに眼底を観察することが有用となります。

それ以外にも貧血をはじめとする種々の血液疾患 
膠原病やある種の感染、例えばHIV感染(AIDS)など
様々な疾患がみつかることもあります。

健康診断や人間ドックで眼底をチェックする理由のひとつは、こうした全身疾患が眼の眼底写真でわかることが少なくないからです。

定期的検査も重要です。

なにげなく眼で物をみていても 種々の病気のもたらす僅かな変化に
気がつかない場合も少なくありませんので 御注意!

眼底を検査する眼底カメラ

上の写真は、眼底撮影に必要な眼底カメラです。無散瞳(瞳を拡げる目薬が不要)でカラー写真がとれ、その場で所見を説明することも可能です。