花粉によるアレルギー結膜炎 症状と対策のポイント

花粉によるアレルギー結膜炎の

症状は、かゆみ、発赤充血、ごろごろ感やしみる感じ、涙目などです。

急性のかゆみ症状と結膜充血 浮腫が著しい症例

かんじゃにみられた白血球

塗沫検査で涙からこの症例は好酸球が観察

(好酸球がみられない
アレルギー結膜炎も多数。

眼所見や細隙灯顕微鏡にもとづく
眼科医の診断を受けることが大切です)

既往も大切!
 鼻炎のある方、季節による症状の変動のある方
喘息やアトピー体質 家族歴のある方
ドライアイの方やコンタクトレンズ装用者
(コンタクトは清潔に!)

など。

花粉症は通年性にみられます
が、秋から冬にかけて杉やヒノキ花粉に代わって、これからの春から夏(梅雨時期含む)にかけても飛ぶ花粉の
代表的な種類は
イネ科
・カモガヤ です。

4~7月
はハルガヤ、そして 4~8月
・イネ 7~8月
キク科
・ブタクサ 8~10月
・ヨモギ 8~10月など関東地方では多く飛散します。イネ科の特徴
イネ科が原因だと朝から症状が出やすい
(スギ、ヒノキは昼に増強)
キク科の特徴
高速道路ののり面などに多く、大量に飛ぶ
ので、その周囲は注意がひつようです。

アレルギー結膜炎の診断
 ImmunoCap Rapidを導入
すると原因抗原の検索が外来にて
迅速に測定できるようになりました。

アレルギー迅速検査

上図中央は検査キット
(スギとカモガヤ抗原に反応が観察された例
秋の症例ですが、関東地方では台風後、スギに反応
する方が多数みられています。H26/11/30現在)

代表的抗アレルギー点眼薬の一覧
(増悪期には、これら薬剤とステロイド点眼を併用)
田中孝男(院長著) 抗アレルギー薬 角結膜疾患の薬物療法 
眼科診療プラクテイス 42-43 Vol 5, 2002より)

点眼の表

予防も大切
 早期からの予防的点眼の開始
 外出時、マスクや防御メガネ等の着用を!

写真はフードのついた、アクリル製防御メガネ

花粉症予防めがね

結膜炎に関する基礎知識

目の赤くなる(充血)する代表疾患は結膜炎ですが、眼の赤くなることがイコール結膜炎ではありません。結膜は、まぶたの裏の瞼結膜、瞼の裏の奥、円蓋部結膜とよばれるぶぶん、そして白目を覆う球結膜に分かれます。そこに様々な原因で発赤、腫、熱、疼痛刺激をともなう状態が結膜炎です。

原因として、代表敵には季節性アレルギー結膜炎、感染性(角膜)結膜炎のほか、コンタクトレンズによる角膜障害、涙のう炎に随伴するものなど、多彩な原因から生じます。

それぞれの鑑別には、刺激症状、めやに、結膜の浮腫所見と所属リンパ節(特に耳前)の腫れ具合などの所見が役立ちます。痛みやごろごろする感覚を伴う場合は結膜以外に角膜に障害が及んでいることがありますし、痒みが主体のとき、代表的疾患はアレルギー結膜炎です。近年増加が著しいドライアイでも通年性アレルギー症状の併発としてみられることは少なくありません。

「めやに」で白~透明な分泌物は、ウイルス結膜炎や急性アレルギー結膜炎、ネバネバしたものはドライアイや一部の春季カタル、黄~緑色の膿状の目やには感染性を疑います。また同時にともなうことの多い結膜の「浮腫」は 炎症が強いときに血管からもれる滲出液で生じる半透明な腫脹です。

診断における塗抹鏡顕検査 通常はめやにの性状で診断につなげることが多いのですが、鑑別になやむ場合、その「めやに」の性状を顕微鏡で観察することで、診断精度をより高めることもできます。これは適切な治療の選択につなげられるので大切です。観察される細胞所見をご提示、説明を加えることで、患者さんに病気の仕組みや、治療法をご理解いただくことにつながる場合が多いからです。具体的手技は、分泌物を綿棒かピンセットにとり、スライドグラスに塗り、
染色したのち医師が鏡顕しながらモニターで提示します。
原因や病態、そして適切な治療法に関してご説明します。
(所要時間は約5分~10分、染色法は、疾患を考慮して種々の染色法から選びます)

麺棒でめやにをすらいどグラスへ

めやにをスライドグラスに塗布

染色して鏡顕

検査をデイスプレイで提示

所見を提示(写真は多数のリンパ球と思われる単核白血球、ウイルス性結膜炎症例)

臨床所見に加え、必要によっては細菌培養同定検査、抗原の検索等、生化学、
免疫学的諸検査とこの検査を併用することが重要と考えています。例えば、正確な診断のために
アレルギー結膜炎の場合、炎症で上昇する涙液中のIgEを測定して
診断の精度を高める場合もあります。