結膜炎に関する基礎知識

目の赤くなる(充血)する代表疾患は結膜炎ですが、眼の赤くなることがイコール結膜炎ではありません。結膜は、まぶたの裏の瞼結膜、瞼の裏の奥、円蓋部結膜とよばれるぶぶん、そして白目を覆う球結膜に分かれます。そこに様々な原因で発赤、腫、熱、疼痛刺激をともなう状態が結膜炎です。

原因として、代表敵には季節性アレルギー結膜炎、感染性(角膜)結膜炎のほか、コンタクトレンズによる角膜障害、涙のう炎に随伴するものなど、多彩な原因から生じます。

それぞれの鑑別には、刺激症状、めやに、結膜の浮腫所見と所属リンパ節(特に耳前)の腫れ具合などの所見が役立ちます。痛みやごろごろする感覚を伴う場合は結膜以外に角膜に障害が及んでいることがありますし、痒みが主体のとき、代表的疾患はアレルギー結膜炎です。近年増加が著しいドライアイでも通年性アレルギー症状の併発としてみられることは少なくありません。

「めやに」で白~透明な分泌物は、ウイルス結膜炎や急性アレルギー結膜炎、ネバネバしたものはドライアイや一部の春季カタル、黄~緑色の膿状の目やには感染性を疑います。また同時にともなうことの多い結膜の「浮腫」は 炎症が強いときに血管からもれる滲出液で生じる半透明な腫脹です。

診断における塗抹鏡顕検査 通常はめやにの性状で診断につなげることが多いのですが、鑑別になやむ場合、その「めやに」の性状を顕微鏡で観察することで、診断精度をより高めることもできます。これは適切な治療の選択につなげられるので大切です。観察される細胞所見をご提示、説明を加えることで、患者さんに病気の仕組みや、治療法をご理解いただくことにつながる場合が多いからです。具体的手技は、分泌物を綿棒かピンセットにとり、スライドグラスに塗り、
染色したのち医師が鏡顕しながらモニターで提示します。
原因や病態、そして適切な治療法に関してご説明します。
(所要時間は約5分~10分、染色法は、疾患を考慮して種々の染色法から選びます)

麺棒でめやにをすらいどグラスへ

めやにをスライドグラスに塗布

染色して鏡顕

検査をデイスプレイで提示

所見を提示(写真は多数のリンパ球と思われる単核白血球、ウイルス性結膜炎症例)

臨床所見に加え、必要によっては細菌培養同定検査、抗原の検索等、生化学、
免疫学的諸検査とこの検査を併用することが重要と考えています。例えば、正確な診断のために
アレルギー結膜炎の場合、炎症で上昇する涙液中のIgEを測定して
診断の精度を高める場合もあります。