メガネの選び方

眼科では、患者様が来院した時、「今日は、どんなふうに具合が悪いのですか」と訊ねます。「いつから」「左右どちら」などなど、そして「かかりつけのご病気の有無」や「お薬の服用状況」様々なことを簡潔に伺います。

そのあと眼科検査に移りますが、その際、特別な感染症が疑われる場合などの例外を除いて、原則その方の視力をはかります。

デジタル視力表

デジタル式視力表

裸眼で正常な遠方視力(日本の指標で1.0)に達しない場合、+(凸)のレンズで矯正できる遠視か、-(凹)レンズで矯正できる近視かあるいは、凸または凹の乱視があるかを調べます。その時使用する検査機器が自動屈折計(最近の機器は角膜乱視のみならず、眼圧の値も自動で測定できます)。

あごをのせ、映る画像をみているだけで測定が可能です。

自動屈折度測定装置の写真

 

レンズをかけて、視力がよくなるかどうかも検査し、レンズをいろいろ入れててみても、正常の視力に至らないならない時は、目のどこかに具合が悪い所があるのではないかと考え、視力がでない理由になる原因疾患を探ることになります。

屈折異常

目の屈折状態を評価できるのは、目が遠くのほうをぼんやりと見ている安静な状態です。すなわち調節といって、近くの物を見るときに目のピントを合わそうと働く現象が関与していないときが望ましい。

ピントを合わそうとして、調節筋が働くと屈折が変わってしまいます。通常、5メートルの視力表で測定します。

眼の断面 その構造写真正視 近視 遠視の図

上の図は眼球の断面図。右の模式図は、その眼球に、遠方を見たとき入ってくる光線の状態を示したものです。

「1.0」の視力を得るのに何のレンズも必要ない正視では正しく網膜にピント(焦点(しょうてん))が合っています。 しかし、近視では網膜の前方に焦点が合って、網膜上をみると「ぼけ」の状態で、凹レンズを用いないと網膜に焦点は結びません。遠視では、ピントは網膜の後ろのほうにあって、同様に網膜ではぼけることがわかります。乱視は、この屈折状態に、主として角膜の彎曲(わんきょく)が垂直と水平方向で異なり、一方が強く、一方が弱いので、生じます。ですから外から入ってくる光が、角膜に入ってくる方向によって光線の屈折が異なる状態といえます。

これらの屈折状態(眼科では屈折異常と呼びます)をレンズによって補正して、正しく網膜に光が焦点を結ぶようにするのが、検眼です。

近視の矯正では強い凹レンズによる矯正は、目が安らげない、すなわち調節力が働きやすい状態で、適切でありません。ですから近視眼の矯正にはは、最良視力が出るレンズより、幾分弱いものを選ぶことが大切です。

遠視矯正

遠視の場合は、遠方を見て、調節をしない状態のときには焦点が後方にあるので、これを凸レンズで前方の網膜に焦点を合わせます。このとき弱めの凸レンズでは、眼内で調節機能が働いてしまいますので、常に調節が働いて目を休めることができません。したがって、遠視の場合、近視の場合亜とことなり、最良の視力がえられる凸レンズで強めを選ぶことが望ましいのです。

乱視は、おおまかにいえば、垂直方向と水平方向の屈折がちがっている状態で、実際の矯正は眼科医にまかせていただくことになります。度数のきめかたは、上記の近視や遠視と同じ考で度を決めます。

検眼フレームとレンズ

検眼フレームと多種類のレンズ

老視と老眼鏡

虫眼鏡は凸レンズで、この虫眼鏡を通してみると物が大きくみえます。自分が近くをみるとき、目の中では調節が生じてレンズを膨らませて焦点を近くに合わせることができます。年をとるとともに水晶体の硬度が変化するので、この調節がうまくゆかずに一般的には凸レンズで矯正することになります。(近視の方で、近親矯正度数が強い方の場合、その度数を減じる(言い換えればマイナスの度数にプラスを加えることになるので、近視を弱めると近くに焦点があうことになります。電車にのってるマイナスの凹レンズをかけている近眼で中年以上の方が、めがねのままでは新聞が読めないので、外してゼロにして新聞をよんでいる状態がまさにその状態です)

駅の売店に並ぶ老眼鏡は、みな球面で乱視のない凸レンズです。拡大されて見えますので、他人の老眼鏡同様に、ちょっとかければ、「おや、よく見える」ということがおこります。しかし、これは虫めがねで物が大きく見えるのと同じことなのです。出かけたときに老眼鏡を忘れ、しかたなくという人が対象の眼鏡で、光学的にみても表面処理は問題があり、常用するのに適当と思えません。たまたま度の合う方がいても、瞳孔の位置ぎめ、表面処理、例えば白内障などの基礎疾患を踏まえたうえでの着色の問題などの対応が肝要です。ぜひ、眼科で検眼と処方をうけていただきたいと思います。